育毛剤ではダメ!?ストレスによる抜け毛(円形脱毛症、神経性脱毛症)の特徴と対策
円形脱毛症について
項目 | 説明 |
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症状 | 毛髪の一部が丸く抜けるもの。突発性。 円形の他に頭髪全体や腋毛が抜けることもある。 大人だけでなく、子供でも発症することもある |
原因 | 毛乳頭の一時的な機能停止。 過剰なストレスが原因と言われている。 |
種類 | 単発性通常型 1カ所のみ10円玉くらいの脱毛が認められる状態 多発性通常型 2カ所以上の10円玉くらいの脱毛が認められる状態 蛇行型 髪の生え際から帯状に脱毛している状態 全頭・汎発型 頭全体の髪が抜けてしまう全頭型の脱毛状態と全身の毛が抜ける汎発型の脱毛状態 |
病院 | 単発的で脱毛部周辺の髪の毛を引っ張っても簡単に抜けない場合は、あまり心配はなく、通常は自然治癒する。 脱毛周辺部の髪の毛も容易に抜けてしまい、毛根部がとがっている場合は、症状が進行中の可能性が高いので皮膚科で診療してもらいましょう。 原因となっているストレスや精神的な負担を取り除くことも大事です。 |
治療 | <1か所など範囲が限られる場合> 外用療法(ステロイド外用薬など))による血流改善 <広範囲に及ぶ場合> ステロイド剤内服 局所免疫療法(特殊な薬を塗って炎症を起こし、発毛を促す) 凍結療法(液体窒素で凍らせて発毛を促す) |
円形脱毛症の特徴は、突発的に起こり、頭髪内に10円玉から500円玉くらいの脱毛が発生し、円形にごっそり髪の毛が抜けます。これが複数個できる場合や、円形でなく頭皮全体や眉毛や腋毛が抜ける場合もあり、脱毛の状態によって、上記の4タイプに分かれます。
原因としては白血球(リンパ球)の炎症に伴う毛乳頭の機能停止(自己免疫疾患)だと言われていますが確定したメカニズムは分かっていません。大体で人口の1〜2%に円形脱毛症が起きるとされていますが、このうち20%は家族性に発症します。
女性の場合には、妊娠、出産後にホルモンバランスの乱れから一過性に脱毛症が起きることもあります。
治療は主にステロイド等の外用療法とグリチルリチン、セファランチンの内服療法です。脱毛範囲が狭い範囲は脱毛部にステロイドの局所注射やドライアイス療法が行われます。ステロイド療法は子供には副作用が大きく出るので用いられません。
神経性脱毛症
ストレスによる抜け毛(脱毛症)と聞くと、円形脱毛症をイメージする方も多いですが、神経性脱毛症(ストレス性脱毛症)があります。
神経性脱毛症は円形脱毛症と違って、最初からごっそり抜けるわけではなく、徐々に抜けてくることが多いです。しかも円形脱毛症のように境目が分かりやするわけではなく、地図状や不正形線状など不規則に脱毛が進行していきます。
原因としては、円形脱毛症と同じようにストレスによる血行不良が考えられます。
ストレスが原因で抜け毛が増えるの?
抜け毛や薄毛の原因として、よく聞くのがAGA(男性型脱毛症)ですが、ハゲにもいろいろな種類があって、ストレスが原因で頭が禿げてしまうこともあります。
ストレスに囲まれた現代人のライフスタイル
以下のようなストレスに悩んでいませんか?現代人の生活はストレスに囲まれているといっても過言ではありません。
種類 | 説明 |
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精神的ストレス | 家族の病気・入院・死亡、人間関係トラブル、恋愛、結婚、出産、育児、離婚、別居、自分自身の体調不良(病気、けが、入院など)、将来への漠然とした不安、親の介護・高齢化、仕事のこと、自営業の場合は事業の失敗・借金・資金繰り など |
社会的ストレス | 会社や職場での上司や同僚との人間関係、昇進・降格、転勤、部署移動、出向、単身赴任、海外赴任、長期出張、ノルマ、残業、通勤、定年退職、リストラ など |
物理的ストレス | 気温、湿度、仕事環境、住宅環境、紫外線、煙草の煙、埃、科学的刺激(大気汚染)、環境刺激(冷暖房、証明、騒音、振動)、生理学的刺激(細菌、カビ) など |
肉体的ストレス | 病気、怪我、体の障害、育児、肉体的な疲労、睡眠不足 |
毎朝、満員電車に飛び乗り、職場では上司や部下の人間関係に悩み、残業で心も体も浪費・・・現代社会ではストレスを避けることは無理!と感じてしまう方も多いでしょう。
ストレスと脱毛症のメカニズム
人間の体は自律神経という自分の意思に関係なく全身の循環・発汗・消化機能・体温調節・内分泌的な働きを制御するメカニズムがあります。自律神経系は交感神経と副交感神経の2つの神経系から成っており、人間の体がストレスにさらされると交感神経系が優位な状態になります。
交感神経系が優位になると、体から自然とアドレナリンが分泌されます。このアドレナリンの作用で血管が収縮し、全身の血流が悪くなります。本来、排出される老廃物や有害物質が体内に蓄積されてしまうのです。
血流が悪くなると全身の細胞に酸素を届けることができず、結果、代謝が落ちてきます。また不眠にも陥りがちで、全身倦怠感を常に感じ、日中も集中力が続かない状態という恐ろしいストレス反応を引き起こします。
毛髪に関しても同様で、血流が悪くなると、毛髪は育たなくなります。頭皮の下の一番奥にある毛乳頭には毛細血管が入り込んでいて、毛乳頭や毛母細胞に栄養を運んでいます。ストレスなどにより血流が悪くなると、ここがうまく働かなくなり、抜け毛の原因となります。
血液や血管、血流は全身の健康状態によって大きく変わり、糖尿病・高血圧症(糖質異常症)といった生活習慣病でも同様です。血流を悪化させる要因としては、ストレスの他に、喫煙・運動不足・栄養不良・睡眠不足などがあります。ストレスによる脱毛が確認された場合でも、これらが十分であったか確認しておきましょう。
育毛剤で対策できるの?
円形脱毛症やストレス性脱毛症によって、抜け毛が増えたり、薄毛になってきた場合、ミノキシジル等を使った育毛剤は効果があるのでしょうか?
通販や薬局ではチャップアップ、スカルプグロウF、プランテル、リアップ、ブブカ、M-1、HairReproなど数多くの育毛剤が販売されていますが、これらはAGA対策としては有効ですが、今回のケースでは原因となっているストレスを取り除くことから始めましょう。
対策方法
重度の場合には、病院での治療が必要になります。病院での治療以外に自分でできる対処療法は以下の通りです。医師の処置・処方と同時進行で行いましょう。大切なことはストレスを体の中に溜め込まないことです。
血行促進!
交換神経の優位により、血流が悪くなっていますので、まずはこれを状態を改善させましょう。
一番有効なのはスポーツで体を動かすことです。スポーツすることで体温が上がり、体の隅々(末梢)まで血の巡りが良くなりますし、気分転換になってストレス解消にもつながります。
仕事帰りにジムでトレーニングや水泳、ジョギングやランニングをするのもいいですが、一駅前で降りて、速足で歩く(ウォーキング)ことから始めてみるのも良いでしょう。
運動しなくちゃ!とストレスにならない範囲で、体を動かしてみることがポイントです。
食生活改善!
朝夕は、家で栄養バランスを考えた食事をしていますか?お昼はお弁当を持参していますか?ほとんどの方が外食やコンビニのお弁当やサンドイッチのお世話になっていることでしょう。できれば、野菜中心に自炊することが望ましいですが、外食であっても栄養バランスに気を使ってみましょう。
交感神経を興奮させないためにはビタミンB群、ビタミン Cなどのビタミン類とカルシウム、カリウムなどのミネラルを摂取することが大切です。イライラするときは、ビタミン類とミネラルの不足が考えられます。アルコール、タバコの常用はこれらを壊すので控えめに。
質の良い睡眠をとる
睡眠ホルモンといわれる「セロトニン」の分泌を促すために日中は日光を浴びましょう。しっかりと眠ることで溜まった精神的、肉体的な疲れが取れますよ。
頭皮を清潔な環境にする洗髪方法を行う
まずはぬるま湯で1日の汚れをよく洗い流してから、頭皮マッサージをするように優しくシャンプーします。シャンプーの際に爪を立てて頭皮に傷を作らないように気をつけてくださいね。そしてシャンプーの洗い残しがないようにすすいでください。これによって、頭皮の血流が良くなり、発毛が促されます。
薄毛の専門家に相談
髪の脱毛、薄毛が気になり始めた時、自己判断で育毛剤を振りかけるだけでは脱毛を改善させることにはなりません。また、これ以上の脱毛を進めないためにも薄毛の専門医に相談した方が将来的に良い結果に繋がります。まずは薄毛の専門医を受診しましょう。
Q&A
AGA治療中でも、ストレスがかかると抜け毛が多くなりますか?
人間の体はストレスが溜まると交感神経が優位になって、血流が悪くなります。その結果、髪の毛が薄くなります。これはAGAの治療中でも同様に起こります。
ストレスが原因の抜け毛で、ストレスが解消されれば、抜け毛はすぐに解消されますか?
ストレスが解消されれば、徐々に抜け毛も解消されますが、少しタイムタグがあります。焦らないことが大切ですし、ここにストレスを感じないようにリラックスした時間をとりましょう。
ストレス性の抜け毛で病院に行く必要があるか、判断する基準は?
頭皮が透けて見える、洗髪時にゴッソリと髪が抜ける、頭皮にコイン型の脱毛が見られる、などの症状がある時は専門医(皮膚科)を受診しましょう。早めの対処を行えば、治療効果も高くなります。
AGAとストレスの関連性はありますか?
AGAの原因は、DHTによるヘアサイクルの乱れで、直接的な関係性はありません。(詳細はこちら)しかしながら、過度なストレスを感じると交感神経が優位になるため、頭皮環境が悪くなり、AGAが発症・進行しやすくなる傾向があります。
髪の毛にとって、オススメのストレスの解消方法は?
ストレスが溜まると交感神経が優位になり、血流が悪くなります。これによって発毛に必要な酸素や栄養素が頭皮まで行き渡りませんので、交感神経を抑える効果が高い運動、リラクゼーションが有用です。
また、血流を悪くする喫煙、栄養素を壊す過度の飲酒は発毛、脱毛に悪影響を及ぼします。